星の記録

天体撮影日記

春の銀河祭り2021 その9 最終回 M87おとめ座AとNGC5178ケンタウルス座A

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NGC5178 ケンタウルス座A
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M87 おとめ座A

春の銀河祭りではこのふたつも是非撮ってみたい対象でした

特にM87 おとめ座Aの中心核から噴き出すジェットは頑張れば写せそう!ということで狙ってみましたが、
NGC5178 ケンタウルス座Aは大型で明るい銀河ですがM87はそれよりはだいぶ小さくて暗く、パッと見ても特徴的な構造が無いため導入に苦労しました

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M87中心部のジェット(右上に伸びる点状の帯)

M87は2020年に世界規模のプロジェクトでブラックホールの直接撮像に初めて成功した銀河で、中心核は非常に巨大なブラックホールです

そのブラックホールに引き込まれて落ちていく物質の一部が、
ごく簡潔に言えば、
強大な重力によってできた渦の回転軸方向に遠心力で吹き飛ばされ光の速さに近い速度で噴出しているという凄まじい現場なのですがちょっと想像し難いですね…

何とか等倍トリミングでジェットを識別できたので満足であります



ケンタウルス座Aは、M87のずっと南の低空にある大型の系外銀河でこちらも中心核は巨大ブラックホールと考えられています

先述のブラックホール直接撮像プロジェクトの候補天体のひとつで、最終的にM87が選ばれましたが次の撮影対象となる可能性も高いようです

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NGC5178 ケンタウルス座A

こちらにも中心部から噴き出すジェットはあるのですがM87と比べると非常に淡くて写すのは困難です
Niwaさんが南米のチリから撮影した見事な写真で天文ガイドの最優秀賞をGetしておりましたがもはや異次元の出来事レベルですw

東北地方からは高度が10度くらいまでしか上らないため撮影条件としては厳しいのですが大きく明るいため写すことは容易な天体です

天一の大きさと明るさを誇る同じケンタウルス座にある球状星団ω星団を狙うとすぐ上(北側)に見えます

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中央下に明るいω星団と中央上にうっすらケンタウルス座A

春の銀河祭り関連で写した銀河はこんな感じかなと思うのでこのシリーズは今回で最終回です

来年はマルカリアンチェーンやソンブレロ銀河を頑張りたいな~と思っています