星の記録

天体撮影日記

M101に出現した超新星SN2023ixf

例年通り5月初旬に蔵王エコーラインの夜間通行止めが解除され、今年も始まりました蔵王シーズン。

蔵王エコーライン ※2021年撮影

とは言っても蔵王まで遠征して天体写真を撮るようになったのは2020年、4年前からですのでまだまだノービスです。

今回は山頂付近の雲が取れるのは遅くなると予想して比較的標高が低めの場所を選んで機材を設置。
4日月が西空に残っていましたが透明度が良く、月あかりを気にすることなく撮影できました。

賑やかな西空(火星、月、ポルックスカストル、金星)

↑ ゴーストが露出オーバーの月の形を再現してくれて良い補完になりました。


この日は数日前に発見されたM101の超新星を撮ることを主題として考えていましたが、夜半までは天頂に近く導入が難しいのでしばらく他の天体を撮ることに。

風が有ったものの蔵王にしては弱い風で、予報では次第に無風になるはずだったのであまり気にせず撮影開始。
…と思ったら、なんとバッテリーを忘れてきたことが発覚!!!
このままでは赤道儀もPCも単なる重しになるところでしたが車に予備のバッテリーを積んでいたので一安心…しかし予備のバッテリーにはACの口がひとつしかありません。
PCは極軸合わせだけ使えればいい事にしてPCのバッテリーをほんの少し充電してなんとか極軸合わせ終了と同時にPCはバッテリー切れで落ちました。
あぶないあぶない…。

そしてM101以外の天体撮影の結果はまた後日にしてとにかく超新星の写真です。

M101回転花火銀河
超新星 SN 2023ixf

2023.05.25 00:05 JST
OMデジタルソリューションズ OM-1
iOptron CEM40赤道儀
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC20
ISO1600 60sec x70枚スタック
StellaImage9
Ligthroom Classic


スタックすると銀河の詳細が良く写りますけど超新星の輝きが埋もれてしまったので、眼視で見たイメージに近い一枚撮りの画像も載せてみます。

M101と超新星SN2023ixf

これだと銀河と比べて超新星がどれだけ明るいかが判り易く、銀河中心核より明るい超新星のエネルギーの凄さが判るかと思います。

2000万光年も遠くの星がこれだけ明るく輝いて銀河系の中の星と同じくらいに見える現象…
2023年の良い記念の写真のひとつとなりました。



P.S.
この夜はなんとKAGAYAさんが蔵王御釜の星景写真を撮りにいらしていたとのことで、何も関係は無いんですが何となく嬉しくなりました。

火星の砂嵐

2022年10月1日の火星(黄雲発生中)

火星は地球の半分のサイズで平均10hPaくらいとかなり希薄ながら大気が有り地軸の傾きも地球と同じくらいなので季節があります。
大気の循環は地球の場合水蒸気が多くの役割を果たしますが火星の場合は一酸化炭素が同じ役割を果たしています。
また地球は半球で3セルの循環ですが火星では局地的な流れは有るにせよ全球で1セルの北極から南極またはその逆というダイナミックな風が吹いているようです。
北極や南極では陽の当たらない極寒の冬にはドライアイスの雪が降りつもり火星の特徴である極冠を作ります。
春になり極冠が溶け始めると冷たい一酸化炭素が大気を押し出して反対側の極へ流れ始めます。
その風に乗って砂が舞い上がると日光を吸収して温まり嵐へと発達することがあります。それが火星の砂嵐、黄雲とも呼ばれます。

火星は軌道の楕円が甚だしく離心率が高いため近日点付近ではより暖かくなるため大きな黄雲が発生し、全球を覆ってしまうこともよくあり大黄雲と呼ばれています。
現在発生中の黄雲は局地的には模様を隠してしまうくらい濃いものの今のところは全球を覆うほどの勢いはなさそうです。
今後も注意深く見守りたいところです…と言いたいところですが相変わらずお天気が悪くてなかなか見られないのが正直なところ。
今年は特に晴れ間が少ない気がしますがこれから秋晴れの日が多くなることを期待してます。

黄雲の拡がり

欠け際の部分を見ると黄雲が立体的に見えています。
通常の地表の色よりも白けた黄色っぽく見えるので区別できます。

火星の暗い模様は昔は海や湿地帯だと考えられていましたが液体の水が表面には存在しないことが判り探査機からの映像でも乾いた砂の表面が拡がっている様子が分かりました。
では何故暗く見えるのかというと月の海と同じで玄武岩質の溶岩台地の部分が暗くみえ、砂に覆われた部分は日光を乱反射して明るく見えていることが判りました。
溶岩台地では風が吹くと砂が吹き飛ばされ低い土地に砂が溜まり模様となって見えているらしく、本当は概ね暗い部分が高く明るい部分が低い土地であるようです。

木星の縞模様の名称

木星の縞模様の名称

木星には横縞模様が有り、小口径でも二本の縞模様が見える事は有名です。
望遠鏡で見るとさらにいくつもの縞模様が有るのが見えて来て、それぞれ名称が着いています。

ちなみに惑星の画像は、スケッチの時代から望遠鏡で見た時のイメージをそのまま描くのが基本なので南側が上となっています。
ただし彗星などは北を上にすることになっていたり対象の天体によって変わってくるので注意が必要です。

木星の縞模様の名称ですが、明るいところはベルト(Belt:帯)暗いところはゾーン(Zone:縞)と呼ぶのが基本で、概ね対象的で判り易いのですが赤道と熱帯だけはちょっと違うので注意が必要です。

また、時々見えなくなったり増えたりすることも有るので適宜名称を増やしたりもします(減らしはしません)
この呼び方は他のガス惑星である土星天王星海王星でも準拠しますが今後変更になる可能性もあります。

写真は2022年10月1日の木星を例として使用しています。

雑記

ノートPCのキーボードの調子が悪いので買い替えたい柊二☆です

皆さまいかがお過ごしでしょうか

木星 2022 Oct. 01

惑星観望の好機がやってきております

土星は夕方に南中しますので早い時間帯から撮り始められますし木星も衝を過ぎて夜半前に南中するようになりました
今年は高度が高いので質の高い木星が見られて大変嬉しいです

火星も明け方に天高く見えていて12月1日の地球最接近(今回は中接近~小接近の間)に向けて大きくなってきました
砂嵐が発生して模様が見えなくならないかやきもきしています

月が明るくても観測できるのが惑星の良いところですね

それでは!

カラフルタウン

アンタレスとカラフルタウンに想うこと
カラフルタウン(2022年5月24日撮影)

中央下でオレンジ色に輝くアンタレス
その付近から左上に伸びる三本の矢(が駆け抜けた…HONDA MVX250F)
赤い大きく拡がる星雲と青く輝く小さな星雲もいくつか

とてもカラフルなのでカラフルタウンと呼ばれています
赤外感度の高いデジタルカメラならではの写真が撮れ気候も楽な夏の夜に見えるので大人気の領域ですね
私もこの領域が撮りたくてD810Aを購入したのがHII領域巡りの始まりでした(^-^;

アンタレスまでは555光年ほど
太陽系と同じ天の川銀河のオリオン腕の中にあります

写真では左下側に写っている天の川銀河の中心部方面には地球に近い方から いて腕、たてーケンタウルス腕、3kPC腕、銀河中心棒が重なって見えており
最も近いいて腕まででもアンタレスまでの10倍以上遠くにあります

写真で立体的に見えるのも光の加減でそう見えるからだけではなく本当に距離が違うせいも大いに有ると思います
(※個人の感想です)

オリオン腕は、はくちょう座のデネブや北アメリカ星雲などのHII領域からオリオン座のオリオン大星雲まで全天に広がって見え、銀河系の内側のいて腕、外側のペルセウス腕とは地球との距離が10倍以上違うため大きく見える代わりに薄く淡く拡がっていて、
アンタレスやデネブやリゲルなどの明るい星の周り以外ではなかなか見えづらく、標準~広角レンズで写すと比較的写りやすくなりますが、それでもとても淡いため写真に残すのは大変です…

この写真ではアンタレスの上、写真中央上に丸い赤い領域が比較的目立ちますがへびつかい座のsh2-27と呼ばれるHII領域です
光っていない黒い部分は水素原子が電離していない分子雲で、ほとんど水素(H)でできていますがごくごく微量の他の元素が含まれており、それが太陽系で言えば地球や火星などの惑星の原料となり、ひいては人類など生物の身体を構成していますが気が遠くなるほどの時間を掛けて集められた元素であり、自分の身体も超新星爆発の残骸から生まれた微量元素によって出来ているという奇跡は神の御業であると考えたくなる気持ちもよく分かります

この領域を写すことはとてもチャレンジングであり周辺の淡い部分ももっと広く捉えたいので、
また来年も自分はカメラを向けることでしょう