星の記録

天体撮影日記

火星の砂嵐

2022年10月1日の火星(黄雲発生中)

火星は地球の半分のサイズで平均10hPaくらいとかなり希薄ながら大気が有り地軸の傾きも地球と同じくらいなので季節があります。
大気の循環は地球の場合水蒸気が多くの役割を果たしますが火星の場合は一酸化炭素が同じ役割を果たしています。
また地球は半球で3セルの循環ですが火星では局地的な流れは有るにせよ全球で1セルの北極から南極またはその逆というダイナミックな風が吹いているようです。
北極や南極では陽の当たらない極寒の冬にはドライアイスの雪が降りつもり火星の特徴である極冠を作ります。
春になり極冠が溶け始めると冷たい一酸化炭素が大気を押し出して反対側の極へ流れ始めます。
その風に乗って砂が舞い上がると日光を吸収して温まり嵐へと発達することがあります。それが火星の砂嵐、黄雲とも呼ばれます。

火星は軌道の楕円が甚だしく離心率が高いため近日点付近ではより暖かくなるため大きな黄雲が発生し、全球を覆ってしまうこともよくあり大黄雲と呼ばれています。
現在発生中の黄雲は局地的には模様を隠してしまうくらい濃いものの今のところは全球を覆うほどの勢いはなさそうです。
今後も注意深く見守りたいところです…と言いたいところですが相変わらずお天気が悪くてなかなか見られないのが正直なところ。
今年は特に晴れ間が少ない気がしますがこれから秋晴れの日が多くなることを期待してます。

黄雲の拡がり

欠け際の部分を見ると黄雲が立体的に見えています。
通常の地表の色よりも白けた黄色っぽく見えるので区別できます。

火星の暗い模様は昔は海や湿地帯だと考えられていましたが液体の水が表面には存在しないことが判り探査機からの映像でも乾いた砂の表面が拡がっている様子が分かりました。
では何故暗く見えるのかというと月の海と同じで玄武岩質の溶岩台地の部分が暗くみえ、砂に覆われた部分は日光を乱反射して明るく見えていることが判りました。
溶岩台地では風が吹くと砂が吹き飛ばされ低い土地に砂が溜まり模様となって見えているらしく、本当は概ね暗い部分が高く明るい部分が低い土地であるようです。