夜空にピカッと光る物体が!
最近、夜空を見上げていると、時折急に光る点が見えることがあります。
街中の自宅からでも比較的よく見かけるのでレアな事象では無いのだろうと思ってはいますが、
原因は千差万別のような気もしています。
飛行機やヘリコプターの類も距離や角度によっては識別灯が見えない場合も有ったりしてなかなか判断が難しかったりします。
一番多いのは低軌道人工衛星と衛星打ち上げ用ロケットの残骸(デブリ)が太陽光を反射して光る「フレア」と呼ばれる現象です。
運用中の人工衛星の場合は姿勢が制御されているので太陽光を反射する時も次第に明るくなって暗くなる時間に数秒間かかりますが、
デブリや運用が終了して放置された衛星の場合姿勢制御されずにくるくる回っているため、太陽光を反射するのも一瞬でピカッと光ってすぐ見えなくなることがあります。
それでも低軌道の物体の場合は視差が大きいので写真に撮れば動いているのが判るのですが、たまに全く動かずに1秒にも満たない時間だけ明るく光る点に遭遇することがあります…
基本的には先程のフレアを一瞬だけ起こす人工衛星…つまり良く光る平らな部分が小さいとか自分の見ている場所が角度的に厳しいとかの要因で反射光が一瞬しか見えない人工衛星で、これは閃光衛星として分類されていたりします。
また、このタイプの衛星は点線のように光った場所を軌道に沿って線状に追いかけることができる場合がほとんどです。つまり時間的場所的に近いところで複数回光ることが多いのです。
ところがさらに、どう見ても1回しか光らなかった、写真を強調しても他に見えなかったという場合も有ります。
こうなってくると、普段はそんなに光らないのにたまたま良く光る部分がたまたま見えた、とか流れ星のレア物である静止流星(自分に向かって飛んでくるので流れずに点に見える)かもしれませんが、判別はほぼできないでしょう。
20世紀のようにデブリがほぼ無い時代にそのような光を見た場合は静止流星と判断されていましたが、現在のようにデブリが物凄く増えてしまうとこれはもう可能性としてはデブリであるほうが高い訳ですから静止流星はほぼ死語になってしまいました。
残念ですねー…
以下の動画の0時10分頃、右上に明るめに光る動かない点が写っています。
これは明るさは異なりますが連続して2回光っているように見えるので閃光衛星のものだと思われますが、1個だけ見ると何が光ったのか判りませんよね。
ただまぁ、見て頂けるとお分かりいただけると思いますが、とにかく人工衛星がたくさん写っています。
目立つホットピクセルも1個有りますが、10等以下の明るさの静止衛星や高軌道衛星も予想以上に飛んでいるのがわかります。
ぜひ全画面モードで4K画質で見てみてください。
夜空もだいぶ騒がしくなったようです…
春の銀河祭り2021 その9 最終回 M87おとめ座AとNGC5178ケンタウルス座A
春の銀河祭りではこのふたつも是非撮ってみたい対象でした
特にM87 おとめ座Aの中心核から噴き出すジェットは頑張れば写せそう!ということで狙ってみましたが、
NGC5178 ケンタウルス座Aは大型で明るい銀河ですがM87はそれよりはだいぶ小さくて暗く、パッと見ても特徴的な構造が無いため導入に苦労しました
M87は2020年に世界規模のプロジェクトでブラックホールの直接撮像に初めて成功した銀河で、中心核は非常に巨大なブラックホールです
そのブラックホールに引き込まれて落ちていく物質の一部が、
ごく簡潔に言えば、
強大な重力によってできた渦の回転軸方向に遠心力で吹き飛ばされ光の速さに近い速度で噴出しているという凄まじい現場なのですがちょっと想像し難いですね…
何とか等倍トリミングでジェットを識別できたので満足であります
ケンタウルス座Aは、M87のずっと南の低空にある大型の系外銀河でこちらも中心核は巨大ブラックホールと考えられています
先述のブラックホール直接撮像プロジェクトの候補天体のひとつで、最終的にM87が選ばれましたが次の撮影対象となる可能性も高いようです
こちらにも中心部から噴き出すジェットはあるのですがM87と比べると非常に淡くて写すのは困難です
Niwaさんが南米のチリから撮影した見事な写真で天文ガイドの最優秀賞をGetしておりましたがもはや異次元の出来事レベルですw
東北地方からは高度が10度くらいまでしか上らないため撮影条件としては厳しいのですが大きく明るいため写すことは容易な天体です
全天一の大きさと明るさを誇る同じケンタウルス座にある球状星団ω星団を狙うとすぐ上(北側)に見えます
春の銀河祭り関連で写した銀河はこんな感じかなと思うのでこのシリーズは今回で最終回です
来年はマルカリアンチェーンやソンブレロ銀河を頑張りたいな~と思っています
春の銀河祭り2021 その8 M51 子持ち銀河 NGC4565 針銀河 M104 ソンブレロ銀河
おおぐま座の隣のりょうけん座にある比較的大型の系外銀河M51(子持ち銀河)です
明るさは8.4等
大きさは視直径11分角
渦巻銀河の横に小さな銀河がくっついているためこのような通称が付けられていますが、実は小さな銀河NGC5195のほうが質量が重いことが判っています
大きさはM101回転花火銀河より一回り小さいですが、M51子持ち銀河のほうが明るく写りやすい銀河です
思ったより春の銀河祭り関連が長くなってきたので巻いて行きます
りょうけん座の隣のかみのけ座にあるNGC4565は、渦巻銀河を真横から見たエッジオン銀河のひとつで、あまり浸透していない気もしますが針銀河という名称がついています
かみのけ座は暗い空なら肉眼でもボヤッと見える大きく拡がった散開星団Mel.111が大きな特徴で、そのすぐ横にNGC4565があります
この付近にはかみのけ座銀河団があり、多くの系外銀河がありますが、ほとんどが暗く小さいものなのでNGC4565は目立ちます
他にもM64黒眼銀河など明るいコンパクトな銀河もあり、来年狙ってみたいと思っています
そのさらに南側にはおとめ座銀河団があり、有名なソンブレロ銀河があります
ただし思っているより小さいため、キチンと写すのは大変だと感じています…
今年は近くの触角銀河をメインにしたためにあまり力を入れて撮れなかったので、来年の宿題です
春の銀河祭り2021 その7 M101 回転花火銀河
Nikon D810A SIGMA APO 500mm F4.5 EX DG HSM(F8)スカイメモS 露出30秒 ISO200~12800混合 53枚コンポジット
春の銀河祭りといえば代表的な銀河のひとつとしてこのM101(回転花火銀河)が挙げられるでしょう
春に見える銀河の中では最も大型のフェイスオン銀河で、写りは悪くありません
腕の先端まで写そうとするととても淡いため、露出時間を稼ぐ必要がありますが、
北斗七星の柄杓の柄の先の方にあり、天頂近くまで高く昇るため撮影条件は絶好です
近くにはM51子持ち銀河などもあり、同じ夜に狙うことが出来てお得な感じがしますし、
M81なども撮って大きさ比較するなど楽しめます
OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO MC-14 スカイメモS ISO400 露出20秒 255枚コンポジット(総露出時間1時間25分)トリミング